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スプートニクの恋人


【今、この瞬間、これを書くにあたり、私の中でこの作品が繋がった!!】


「たぶん今、君は自分自身を新しいフィクションの枠組みの中に置こうとしているんだ。だからそっちが忙しくて、君の気持ちを文章のかたちにする必要がないんだよ、きっと。あるいは余裕がないのか」
「よくわからないんだけど、あなたはどうなの?やはり自分の身をフィクションの中に置いているわけ?」
「世界のたいていの人は、自分の身をフィクションの中に置いている。もちろんぼくだって同じだ。車のトランスミッションを考えればいい。それは現実の荒々しい世界とのあいだに置かれたトランスミッションのようなものなんだよ。外からやってくる力の作用を、歯車を使ってうまく調整し、受け入れやすく変換していく。そうすることによって傷つきやすい生身の身体をまもっている。言っていることはわかる?」
 すみれは小さくうなずいた。「だいたい。そして私はまだ、その新しいフィクションの枠組みにうまく適応できていない、あなたの言いたいのはそういうこと?」
「いちばんの問題は、それがどういうフィクションなのかを君自身まだ知らないことだ。筋書きもわからない、文体も定まっていない。わかっているのは主人公の名前だけ。にもかかわらあず、それは君という人間を現実的に作りかえようとしている。もう少し時間がたてば、その新しいフィクションは君をまもるためにうまく働き始めるだろうし、君は新しい世界の姿を見るようになるかもしれない。でも今はまだそうじゃない。当然ながら、そこには危険がある」
「つまり私は、自前のトランスミッションはとり外したものの、それにかわる新しいものはまだネジをとめている途中。それでもエンジンはひゅんひゅんと回転をつづけている。そういうこと?」
「おそらく」
 ―pg 98

 どうしてみんなこれほどまで孤独にならなくてはならないのだろう、ぼくはそう思った。どうしてそんなに孤独になる必要があるのだ。これだけ多くの人々がこの世界に生きていて、それぞれに他者の中になにかを求めあっていて、なのになぜ我々はここまで孤絶しなくてはならないのだ。何のために?この惑星は人々の寂寥を滋養として回転をつづけているのか。
 ―pg 272

 そして唐突に電話が切れた。ぼくは受話器を手にしたまま、長いあいだ眺めている。受話器という物体そのものがひとつの重要なメッセージであるみたいに。その色やかたちになにか特別な意味が込められているみたいに。それからおもいなおして、受話器をもとに戻す。ぼくはベッドの上に身を起こし、もう一度電話のベルが鳴るのを待ちつづける。壁にもたれ、目の前の空間の一点に焦点をあわせ、ゆっくりと音のない呼吸をつづける。時間と時間のつなぎめを確認しつづける。ベルは鳴りださない。約束のない沈黙がいつまでも空間を満たしている。しかしぼくは急がない。もうとくに急ぐ必要はないのだ。ぼくには準備ができている。ぼくはどこにでも行くことができる。」
 ―pg 317

村上春樹「スプートニクの恋人」講談社文庫、2001年
2007.08.21(11:28)|今日の一冊コメント(2)トラックバック(0)TOP↑
saudadeeeeeeeeeeeeeeee
オレも大好き。スミレの書き残した二つの文章が強烈に掻き乱されたよ。
思考的な歩みを生の歩みと同一視するスミレちゃんの真摯な信念にやられました。
皆固有の星の軌道を歩んでいくことからは逃れられないのかな。
From: kengo * 2007.08.21 20:17 * URL * [Edit] *  top↑
oi! como vai!
コメントありがとう!!
私は、ね、「ぼく」が好きだったんだ。

ん~、なんだろう、人それぞれ「生」の認識は違うけれど、結局は何かによってこの世界に繋ぎとめられているのかなぁ。
それとも、「この世界」と「あの世界」は実は同一のものなのかもしれないなぁ。

固有の星の軌道か。でも、それぞれの星の軌道はお互いに引力によって影響しあってるんじゃない??? ぼくとすみれ、すみれとミュー、そしてミューとぼくのように。

あぁ、よくわからなくなっちゃった!笑
From: そのみ * 2007.08.21 20:27 * URL * [Edit] *  top↑
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小六~高校:約7年弱、南半球オーストラリアで暮らし、
大学:四ツ谷にある大学で学び、
「東京」の大学の大学院で、ラテンアメリカの経済で修士修了。
現在、東京のど真ん中で、日本の貿易の活性化に努める日々。

毎日が
最高に刺激的で、
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旅が大好きだけど、日本も大好き。
写真も大好きだし、読書も大好き。

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